入社1年目の教科書/岩瀬大輔

入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

仕事の役に立てば・・・というより、嫌なことがあっても「まぁそんなもんか」って思えるようになりたくて読んだ。

書いてあるのは当たり前のこと。

本では、50コの項目が書いてある。
でもどれも当たり前のことばかり。
たとえば

何があっても遅刻はするな

朝のあいさつはハキハキと

などなど。
ただ、一見当たり前なんだけも、
「実践することで相手はどう思ってくれるのか」「どんないいことがあるのか(もしくは筆者にはどんないいことがあったのか)」
ということも併せて述べられているので、
あまり疑わずに、素直に取り入れてみるほうが心がラクになるんじゃないかなぁと思った。
少なくとも実践して毒になるようなことは無いはずなので。

とはいえ、世の常識とは反対の意見も含まれている

たとえば、

本は速読するな

という項である。
これは、筆者は

読書は、著者との対話である

と考えているからだ。対話であれば、聞き流したり無視したりしては失礼である。
ただ、

じっくり読む価値のない本は、読まなければいいのです。

とも書いてあるので、
「どうでもいい本をじっくり読むことや、大事な本を流し読みしてわかったつもりになるのはダメだゾ」
と言いたいのだろうと理解した。

一番参考にしようと思ったことは、コラムのなかに書いてあった

これは自分のクセというか、ひねくれたところでもあるんだけど、
本題と関係のなさそうな、メインでないところにあるものに惹かれる。
社会科の資料集の欄外に書いてあったことはよく覚えていたり。

閑話休題

ざっくり言ってしまうと、立派な人は
「健康」であり
「常に勉強している」
ということ。

最近半分娯楽のような勉強(と読書)に終始していて、広く浅くのインプットになってる自分を反省した。
もうすこし、狭く、深く、物事を追求する勉強をしようと思う。

この本は入社1年目の人で無くても読む価値があると思う

上で述べたように、書いてあることのほとんどは「そうだよな、大事だよな」と思うようなことなので、
目新しさは無いかも知れない。
が、「当たり前のことを思い出させてくれる存在」というのは、一握りのプロを除けば万人に必要だと思う。
この本はそういった位置づけになる本。
たまに見返しては、「ああ、そうだ忘れてた」と、ちょっとヒントをくれるような本。

これを入社1年目の今読んだときに感じたことと、
数年たって読んだときに感じたことは、また違ったものになるはず。

読み返そう。

ゲームばっかりしてなさい。〜12歳の息子を育ててくれたゲームたち〜/浜村弘一

ゲームばっかりしてなさい。-12歳の息子を育ててくれたゲームたち-

ゲームばっかりしてなさい。-12歳の息子を育ててくれたゲームたち-

著者は浜村弘一氏。浜村通信、といったほうが分かりやすいかも知れない。

浜村 弘一(はまむら ひろかず、1961年2月8日 - )は元『週刊ファミ通』編集長、現在は株式会社エンターブレイン代表取締役社長、株式会社角川グループホールディングス・株式会社角川グループパブリッシング・株式会社角川ゲームス・株式会社ブックウォーカー各社取締役。ペンネームは浜村通信
浜村弘一 - Wikipedia

この本は、そんな浜村氏の

息子とボクの成長の記録

だ。

ゲームによって浜村氏が得たもの

この本では、時系列順に、息子さんとの体験談、それを通して浜村氏が感じたこと息子さんの成長が描かれている。
たとえば、野球に全く興味がなかった息子さんが、マリオの野球ゲームを通じて野球に興味をもち、親子でのキャッチボールが実現したり。
たとえば、二人でヴァナディール*1へと冒険にでて、
そこで息子さんが「お金を稼ぐこと」や「他人との関わり方」を学ぶ姿を目の当たりにしたり。
読んでいるとなんだか心があたたまる気がした。

しかし、テレビゲームに対する世間の目は、偏見に満ちていた。

ゲーム脳」という言葉がある。カンタンに言ってしまえば、「ゲームをするとコミュニケーション能力が低くなり、バカになり、ひどいと他人をぶっ殺したりする」という事だ。
しかし、浜村氏はこの「ゲーム脳」という言葉を世に出した(論文を書いた)教授に実際にあって話をしている。
そこでは、研究で行った実験の問題点を指摘。
また研究を行った教授も、その指摘に対しては素直に「自分の実験とは異なった結果が出る可能性がある」ことを認めている。
しかし、マスゴもといマスコミにとって非常に都合のよかった「ゲーム脳」という言葉は、前述のような意味で使われてしまうことになった。
結果、「ゲーム=悪」というシンプルだが暴力的な式が浸透してしまう。

ゲーム=悪、が子供を苦しめた

この本を読んではっとした話があった。
それは、「犯罪者の部屋からはたくさんのゲームソフトが見つかり・・」などと報道されているのを見た息子さんのクラスメートが、
他のゲーム好きなクラスメートを「ゲームばかりやって、ゲーム脳になるぞ」とからかったそうだ。
それを見た息子さんは、「ゲームをやっている自分は、将来、人を殺してしまうんじゃないか」と不安になったそうだ。
本の中ではこのように書いてある。

ボクにとってのいちばんの衝撃はそのあと*2起こった。いっしょにテレビを見ていた小学生の息子が突然、ぽつりと漏らした。
「おとうさん、ボク、大丈夫だよね?」
一瞬、彼が何を言っているのか、わからなかった。つぎの瞬間、ボクは胸がかきむしられる思いがした。彼は、明らかに間違っているゲーム脳報道を見て、自分が将来、「人を殺す人間になるかもしれない」という恐怖を抱いてしまったのだ。

「世間の無理解」という、巨大で、実態のない何者かが自分の息子を苦しめていたら、それは胸がかきむしられる思いがして当然だとおもう。
今まで「ゲーム脳が・・・」なんて報道を見ても、「バーカ」としか思っていなかったけども、
本当に素直にゲームを楽しんでいる小学生からすれば、なんて恐ろしい話だったんだろうと思って、衝撃だった。

昔のテレビだって、漫画だって、そうだったはず。

ゲームが悪者にされている現状に、浜村氏はこう述べている。

かつてはマンガだって、読めばバカになると言われた時があった。テレビだってそうだ。テレビのブラウン管から、"人をバカにする電波"が出ると噂された時代が本当にあったのだ。当時の大人は、テレビのそばに子供を近づけてはダメだと思い込んだ。そんな無理解の洗礼を受けてきたテレビが、同じ論法でネットワークゲームをバッシングしている。バカげた話だ。

この本が出版されたのが2007年。
それから5年で、テレビは本当に"人をバカにする電波"を出すようになった。この点では昔の人はある意味正しかったかもしれない。

だが、そんなゲームに理解を示す人も出てきている

ニンテンドーDSなどで、大人もプレイするようになった影響か、娯楽・メディアとして成熟してきたからか、上のような無理解は徐々に*3無くなってきているのかもしれない。
それは浜村氏が公的な機関や学校などに呼ばれてアドバイスや講演を求められたときの、周囲の反応からも伺える。
少なくとも、浜村氏のようにポリシーを持って子供にゲームをプレイさせ、自分たちのコミュニケーションの為のツール、子供を成長させる為のツールとしてゲームを用いることが出来れば、何の問題もないはず。
浜村氏は、「ゲームに子供の面倒を見させようとすることが、よくない」という趣旨のことを言っている。
親がまずゲームを理解して上手に使わないと。

ゲームへの偏見に関していろいろ言ったものの、やっぱり「こんな親子、いいなぁ」

ゲーム業界の苦悩や、マスコミの問題点など、いろいろなことが書いてある本書だけど、
やっぱり主役は「親子の話」
お風呂に入りながら、MOTHER3*4の感想(というより論)を言い合うような、そんな父と子。
共通の趣味なら何でもいいんだと思う。浜村親子には、それがゲームだっただけ。
こんな家庭を持ちたいなぁと思った、いい本だった。

*1:オンラインゲーム『ファイナルファンタジー11』の舞台となる架空世界。

*2:electricalpeach注:テレビでゲーム脳がどうこうというニュースをみたあと

*3:かつマスコミ以外で

*4:奇妙で、おもしろい。そして、せつない。ゲーム。

始めよう。瞑想

始めよう。瞑想:15分でできるココロとアタマのストレッチ (光文社知恵の森文庫)

始めよう。瞑想:15分でできるココロとアタマのストレッチ (光文社知恵の森文庫)

概要

瞑想をするといいことがたくさんある。
でも、「宗教っぽい」とか、「怪しい」といったイメージを持たれがち。
しかし本書では、「瞑想は科学であるという視点」からそのやり方や効果を紹介。
一日15分で心と体を整えよう。

感想

瞑想は続けてみようと思うが・・・

正直ハズレを掴んだかなぁという感じ。
ただ、これは「瞑想」そのものについて否定的な感情を持ったということではない。
第一章に書いてある「瞑想のやり方」を読んで、実際にやってみて、
頭の中で考えてることを一旦置いておいて、「からっぽ」にすることには自分でもメリットを感じた。*1

著者でなく編集の問題で内容が活きてきていない印象をうけた

瞑想を「科学的に」と書いてある割には科学的根拠に欠けるような部分もあった。
また、本では第三章から

「脳」と「パソコン」は似ている

と、脳をパソコンにたとえて「バージョンアップ」などというワードがたくさん出てくるのだが、
そもそも第二章の段階で脳のプログラムが云々という例え話が何回も出てくるので、最初に面くらう。
特にパソコン等々にそんなに詳しく無いひとが読む上ではかえってわかりにくい例えになっているように思う。*2
この本全体を通して、「例えば・・・」と、「脳」や「本当の自分」や「脳の機能」などの関係を何かに例えて書かれている部分がたくさんでてくるが、その殆どが逆効果(かえって理解の妨げ)だと思った。*3
著者は他にも瞑想に関する本を出しているようなので、他社から出版された本と読み比べをしてみたい。
「お前がわからないのが悪い!」と言われてしまえばそれまでだけど。一応のいち意見として。

本書の使い方

メインは第一章で書かれている「瞑想のやり方」。
ここを目的として購入するのがベスト。
それ以降、どんな効果があるのかとか、もう少し踏み込んだ瞑想のやり方なども書かれているが、
「効果は自分で確かめる」くらいのつもりで。

*1:特に自分はくよくよとかいらいらとかしがちなので。

*2:仮にも修士情報科学)の自分が読みにくさを感じたので、おそらくは・・・

*3:むしろこの本を読んで散らかった思考を瞑想によってなんとかしなきゃいけないんじゃないかと

架空の球を追う/森絵都

架空の球を追う

架空の球を追う

やっぱり罠にはまった。
そんな気がする。
ふとした光景から人生の可笑しさを
巧妙にとらえる森絵都マジック
(帯より)

感想

11の短篇集。
個人的には当たりもハズレもあって、短篇集ならそうなるよね。
一つひとつのお話は日常を切り取ったような話で、
それでいてちゃんとオチもついている(ものが多い)。

タイトルの謎はすぐに解ける

『架空の球を追う』というを見て、まずどんな内容なんだろうと想像すると思う。
架空の球ってなんだろう、とか、表紙では夜の道に風船が浮いてるけどなんだろう、とか。
そんなふうにちょっとワクワクしながら、本の表紙をめくった。
しかしなんと一本目の「架空の球を追う」の数ページでなんのことなのか分かってしまった。
個人的にはちょっと残念。もっとなんだろうなんだろうって思わせてほしかった。
同じ森絵都の「アーモンド入りチョコレートのワルツ」とかを読んでいたので、
これも現実だけどちょっとファンタジックな風味のあるお話かと思って読み始めたからなおさらかも。
でも一冊通して読んでみると、やっぱり表題作の「架空の球を追う」は一本目が合ってた。

女性ならではの雰囲気が全開だったように思う

この本のおはなしは全編「女性が主人公で女性目線」で書かれている(と思われる)ので、
漢らしい人が読んだら「ええいまどろっこしい」とか思っちゃうかも知れない。
逆に、女の人だから言えるような、
「すごく小気味のいい嫌味」というか、
「ジャパニーズジョーク」というか、
言葉のやりとりがすごく面白い。
こんな言い方でブログが書けたらどんなに面白いだろうとか思ったりした。

話はそれるけど、ものの言い方が面白いなぁと思うブログは二つある。

ぜひ一読されたし。時間があるときに。

自分が面白いと思った話
  • 銀座か、あるいは新宿か

駅すぱあと!」
の数文字で面白い。*1

主人公が、スーパーで見かけた人を観察しながらいろいろとするお話。
日常的にスーパーで買い物をして、かつ「本当はもうちょっといい生活がしたい」「安い肉を買ってはいるものの、本当はアメリカ産の豚肉など食べたくはないし、そもそもこんな安いスーパーに来たいわけではない」とか思ってる人にはなにかグッとくるものがあるんじゃないかな。
逆に「男子厨房に入らず」を不断の努力で続けていらっしゃる中高年男性なんかには何も響かない話。

*1:他人に共感してもらえるとは思わないけれども、この本を読んでこの一文に面白さを感じた方がもしいたら、是非二人で飲みに繰り出して、いっしょに「駅すぱあと!」と言いたい。

読書の技法

読書の技法

読書の技法

読書関連本をまた読んだ。
読書の本は4,5冊読んでるので、もうちょっと読んでみて比較記事なんか書いてみたい。

概要

タイトルは読書の技法だが、読書に始まり広く「学び方」について言及。

筆者は月に300冊以上の本を読む。
本を沢山読むことをすすめているのだけれども、もちろんいたずらに数をこなせばいいというわけではない。

忙しいビジネスパーソン*1には時間も限られているので、
どんな本を読むかちゃんと選ばなければならないし、そして効率よく読む方法を必要がある。

本を選ぶときには、「超速読」をする。
超速読では5分程度で「この本をどのレベルで読めばいいか」を判断する。
どのレベルで、というのは

  • 超速読で終わり
  • 速読する
  • 熟読する

・・・
といったもの。
ここでレベルを分けることによって、限られた時間のなかでより自分が必要な読書ができる。

ただし、「超速読」で「自分がどのレベルで読んだらいいか」を判断するには、
基礎知識=高校卒業程度の知識(国語、数学、英語、科学、歴史、政治、経済・・・)が必要である。
これがないと、よくわからない本を読むような、眼球の運動にしかならない。

そして、基礎知識を身につけるには
基本となる本=教科書や参考書*2を「熟読」するのがいい。

基本知識を「熟読」によって得て、それによって「超速読」や「速読」のスピードや精度、効率が上がる。

また、小説や漫画も息抜きとしてアリ。
ただ、歴史の漫画などをそのまま史実として受け入れないように気をつける必要がある。
読書をする環境も、自分にあったものを。筆者は睡眠時間が短いが、オススメはしない。

感想

読書の枠を超えた展開になっていて、なるほどと思った。
途中読書の本を読んでるんだか日本史の本を読んでるんだか哲学書を読んでるんだかわからなくなった。
他の読書本にも共通するが、やはりジャンルの偏りは良くないみたい。
この本では基本知識と言っているが、自分には特に歴史などなど「社会」の知識が足りてないので、そっちの本にも手を出してみようと思う。

昨日読んだ「レバレッジ・リーディング」と違った点は、「本を三回読め」と言っているところ。
「本には書き込みをすべし」という点では共通していたが、「読書の技法」では鉛筆やシャーペンでメモを書きこむことをすすめており、
これは見返したときに「やっぱ違うか」と思ったら消すためだそう。

同じジャンルの本を読んでると、こういったスタイル*3の違いが見られて、おもしろい。
読書で得たものが有機的につながっていくってのはこういうことなのかもしれないなぁ、という感覚が最近分かってきた。
これをもっと範囲を広げて、ある分野の知識・知見によって、別の分野に大して自分なりの考え・解釈を展開する、というレベルに達したい。

*1:本文中でもビジネスパーソンという言い方をしている

*2:学校のをそのまま、という訳ではない。どんな本がいいかは具体的に述べられている

*3:読書本ではほとんどが「自分はこうやってる」という手法の紹介であって、誰も押し付けをしていないので、あえて「主張」といわず「スタイル」と書いた

レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング

読書方法について書いてあった。

概要

書き手が汗水たらして時間をかけて得たものをまとめたのが「本」。
一冊1500円程度の本を読めば書き手の得たものから学べるのだから、
こんなに安くて効果の期待できる「自己投資」は無い。
だから本は沢山読むべきだ。

沢山読むにあたり

  • どうやって本を探したらいいのか
  • どういう読み方をすればいいのか
  • 読んだ後どのように自分の肥やしにすればいいのか

が書いてあった。

感想

著者も「全部鵜呑みにするな」とご親切に言っているし、全部マネしたところでそれがイイとも思えなかった。
でも、目的意識を持って本を選び、読むのがいいというのは賛成。
また、このレバレッジ・リーディングは、ビジネス書や自己啓発書を読むメソッドだと思うので、
沢山小説を読みたい、なんて理由で手に取る本ではないので注意。
この本では「速読」について否定はしていないものの、
速く字面を追えばいいというものではないと述べている。
速読とレバレッジ・リーディングでは、どちらも「沢山の本を読むことができる」という点は共通しているものの、
そもそも別の目的がある別の方法。

この本を読むことで、
ビジネス書等に書いてある内容から自分に必要な部分を効率よく得て、
それらを普段の生活・仕事に効率よく活かすための方法(のヒント)
が得られる。

Emacs実践入門

Emacs実践入門 ?思考を直感的にコード化し、開発を加速する (WEB+DB PRESS plus)

Emacs実践入門 ?思考を直感的にコード化し、開発を加速する (WEB+DB PRESS plus)

これまた自分用メモも兼ねて。emacs歴は4年?くらいだけど、使いこなしてはいないので参考になった。

以下「へ〜」ってなったコマンドや機能などの一部まとめ。*1

emacsチュートリアル日本語版

M-x help-with-tutorial-spec-language

からの

Language: japanese

で開く。
TUTORIAL.ja

emacsデーモン

emacs23からの機能らしい。バックグラウンドで動かしておくことで、すぐ起動させられるそうな。

置換

ずっと

M-x query-replace

でやってたんだけど、

M-%

でできるのね。

Dired

標準のディレクトリ操作。知らなかった・・・

C-x d

補完の強化

Auto Complete Modeを入れるといいらしい

矩形編集の強化

cua-mode というのを入れるといいらしい

バージョン管理ツールとの連携いろいろ


以上。
本の後ろのほうはいくつかの言語の開発環境に関する記述だったので、
けっこうすっとばした。
使うことがあったらまた読む。

*1:いい本だから買ったらいいと思うよ